群馬県・太田市の江戸風テーマパーク「三日月村」へ足を運んできました。
「三日月村ってどんな場所?」「雰囲気は?」「アクセスや料金は?」
静まり返った園内や不思議な仕掛けの数々、まるで時が止まったような空間が広がるその様子を、実際の体験をもとにレポートしています。
記事内で紹介している様子は YouTube にも公開中。
人気(ひとけ)のない村の空気感を、動画でリアルに体感できます。動画は記事の一番下に!
江戸時代風の世界に迷い込む三日月村とは?

三日月村は、群馬県太田市の「藪塚温泉郷」近くにある、江戸時代の上州を舞台とした小説「木枯し紋次郎」の世界観を再現したテーマパークです。
昭和50年代から続く施設で、どこか昭和レトロの趣を残した空間に、江戸風の建物や仕掛けが並んでいます。
「テーマパーク」といっても、遊園地のような派手さはなく、どちらかといえば体験型ミステリースポットといった印象。
村の中には、怪異現洞・絡繰屋敷・不可思議土蔵、など興味をそそるアトラクションがあります。
絶対に体験しておきたい三日月村の施設
村のあちこちにユニークな仕掛けが潜んでいるのが、三日月村ならではの楽しさです。
その中でも特に印象に残ったスポットをいくつかご紹介します。
怪異現洞
三日月村の中でもひときわ異彩を放つアトラクションが、「怪異現洞(かいいげんどう)」というアトラクションです。

暗い洞窟のような空間を、手に持ったライトで足元を照らしながら進んでいくスタイルで、視界が限られた中を探検するような、静かで張り詰めた空気感を味わえます。
このアトラクションの魅力は、ただ暗いだけではなく、進むごとに突然の変化や仕掛けが待ち受けていることです。

たとえば、ドアの前に立つと壁がスライドして隠された通路が現れたり、棺の前に立つと棺が横に動いて地下への階段が姿を現したりと、まるで空間そのものが意思を持っているかのような感覚に包まれます。

さらに、突然鳴り響く音響効果に驚かされたり、進路の先に滝のような水の演出が出現したり、突如として荘厳な雰囲気のお寺の空間が広がっていたりと、予測不能な展開が続きます。
大声を出して驚くタイプではないものの、あとからじわっと来る怪しさや気味の悪さがクセになる、隠れた名アトラクションです。
絡繰屋敷

一見すると昔ながらの和風家屋ですが、中に入るとまったくの別世界。
ここはただ見て歩くだけの施設ではなく、仕掛けを解きながら屋敷からの脱出を目指す探索型の脱出アトラクションになっています。
屋敷内には数々のトリックが仕込まれていて、あからさまなヒントは一切なし。
手がかりを頼りに、自分の目と勘だけで道を探っていく必要があります。
たとえば、何の変哲もない掛け軸の裏に通路が隠されていたり、
ふすまをそっと押すと突然隠し部屋が出現したりと、まるで時代劇の忍者屋敷に迷い込んだような感覚です。
どうしても分からなくなってしまった場合は、付き添いのスタッフさんに声をかければ、さりげなくヒントを教えてくれます。
不可思議土蔵
三日月村に来たら、ぜひ体験してほしいのが「不可思議土蔵」です。
まず最初に戸惑うのは、建物全体がわずかに傾いているという感覚。
床や壁、天井が通常の水平垂直とは微妙にズレており、まっすぐ歩いているつもりなのに、いつの間にか体がぐらついたり、横によろけたりしてしまいます。
手すりもあるにはあるのですが、それすらも信用できなくなるような不思議なバランス感覚。
「地面が動いてるんじゃないか?」と錯覚するほど、自分の体の軸がぐにゃりと曲がってしまったような感覚に陥ります。
三日月村へのアクセス・営業時間・料金・基本情報
所在地・料金・営業時間
- 住所:〒379-2301 群馬県太田市藪塚町3320 三日月村
- 営業時間:9:00〜15:00
- 休園日:金曜日(臨時休業あり)
- 入場料:一般660円/6歳から小学生は350円/セット券(アトラクション)1760円
- 駐車料金:500円(普通車約30台分)
- 電話番号:0277-78-5321
- 公式サイト:歴史の里 三日月村 | 子供とお出かけ情報「いこーよ」
アクセス方法
- 電車:東武桐生線「藪塚駅」から三日月村まで徒歩20分
- 車:北関東自動車道「太田藪塚IC」から約10分
三日月村に行ってみた感想
私が三日月村を訪れた日は、平日の午後。
まず最初に驚いたのは、園内に他のお客さんが一人もいなかったことです。

本当に営業しているのか不安になるほどの静けさの中、聞こえてきたのは、隣接する施設「スネークセンター」から響いてくるチャボの鳴き声と、かすれて途切れ途切れに流れる園内アナウンスだけ。
人の気配がまったくないその空間は、まるで廃村に足を踏み入れたような感覚に襲われました。

建物はどれも味わい深く、茅葺屋根には苔が生え、土壁にはひびが入り、木製の柵や通路もところどころ傾いていて、自然と時間に侵食されたような景色が広がっていました。
舗装された細い道の両脇には崩れかけた小屋が並び、その奥に進むと誰もいない集落のようなゾーンが現れます。まるでかつて誰かが暮らしていた痕跡を静かに見ているようでした。

そんな中、不意に視線の先に見えたのは、二階の窓からこちらをじっと見下ろす着物姿の人形。
無言でそこに座っている姿が妙にリアルで、空気が一瞬にひやっとする瞬間がありました。
暗い洞窟の中をライト片手に進む怪異現洞では、何かが気持ち悪いという感覚をじわじわと植え付けてくるタイプの不気味さがあります。

どこか仏教的な空間や棺、謎の祭壇のようなものが現れるのに、それが木枯し紋次郎と、どう結びついているのか全くわからないまま、ただただ進まされるのです。
アトラクションの内容自体は、B級テイストで楽しいのですが、それを取り巻く背景の静けさ・老朽感が相まって、まるで異世界に迷い込んだような不気味さと魅力がありました。
個人的には、テーマパークというより朽ちかけた物語の舞台に迷い込んだような体験だったと感じました。
三日月村はこんな人におすすめ
三日月村は、よくある観光地とはひと味違った魅力を持つ、個性派のスポットです。
定番とは違う、ちょっと変わった体験を楽しみたい方にぴったりの場所です。
- 昭和レトロやノスタルジックな雰囲気が好きな人
- 混雑とは無縁の、静かな穴場スポットを探している人
- 謎解きやからくり仕掛けにワクワクする人
- B級スポットにロマンを感じる人
- 写真や動画でちょっと不思議な世界を記録したい人
三日月村の静けさと不思議が混ざる記憶に残る観光体験
三日月村は、派手なアトラクションがあるわけではありませんが、仕掛け満載の絡繰り屋敷、感覚を狂わせる不可思議土蔵、そして正体不明の怪しさが漂う怪異現洞。
どれもが一筋縄ではいかないちょっとクセのある楽しさになっていて、定番の観光地にはない魅力を感じました。
朽ちた建物の雰囲気、聞こえづらい園内アナウンスが生み出す空気感は、まるで自分だけが誰もいない物語の中に迷い込んだような、特別な時間でした。
三日月村は、「にぎやかな観光地にちょっと疲れた」「静かな場所で、忘れられない体験をしたい」
そんな方にこそおすすめしたい、唯一無二の観光スポットです。
「2023年9月23日訪問」
訪問の様子は YouTube でも公開中です。
展示会のリアルな雰囲気を動画でチェックできます。