沖縄県豊見城市にある戦争遺跡「旧海軍司令部壕」は、地下に広がる空間や資料館の展示を通じて、戦争の悲惨さを現在に伝える場所です。
この記事では、実際に訪れた体験をもとに、壕内の様子やアクセス情報、感じたことをわかりやすくまとめました。
訪問の様子は YouTube でも公開中です。
旧海軍司令部豪の様子を動画でもチェックできます。記事の一番下に動画を記載しています!
旧海軍司令部壕とは?沖縄戦争遺跡が語る平和のメッセージ

沖縄県豊見城市にある戦争遺跡「旧海軍司令部壕」は、太平洋戦争末期の沖縄戦において日本海軍が使用していた地下壕です。
戦局が悪化する中、当時の海軍沖縄方面根拠地隊がこの壕を拠点に最後まで戦い、司令官である大田実中将らが自決した場所として知られています。
戦後、この壕は保存され、現在では「沖縄戦争遺跡」として一般に公開されています。
当時の様子を伝える資料館や、壕内に残された部屋、壁の破損跡などを見学できる貴重な施設です。
平和の尊さと、戦争の悲惨さを静かに語りかけてくる場所でもあります。
沖縄の歴史に深く関わる場所として、現在では多くの人が訪れるようになった旧海軍司令部壕、実際に足を運ぶことで、戦争の記憶を今に伝えるその空間を体感できます。
沖縄の戦争遺跡を体感、旧海軍司令部壕の内部へ
受付でチケットを購入し、階段をゆっくりと降りていくと、ひんやりとした湿気のある空気に包まれ、別世界に足を踏み入れたような感覚になります。

岩肌がむき出しの通路が続き、戦争という現実がそのまま残された空間が広がります。
足を進めるごとに、当時の緊迫した状況や、壕の中で過ごした人々の姿が少しずつ想像できるようになります。
静まり返った地下空間は、目に見えるもの以上に多くのことを語りかけてくるようでした。
この壕は、総延長およそ450メートルにも及ぶ大規模な構造で、建設には海軍設営隊3000人によっておよそ5か月間が費やされました。

真夏の猛暑の中、暗闇に近い状態での作業だったとされ、兵士たちはツルハシやクワ、シャベルを使い、自らの手で掘り進めていったといいます。
今でも壕内の壁面には、ツルハシで掘り進めた跡が無数に残されており、その労働の過酷さが視覚的にも伝わってきます。

壕の中は、「司令官室」「通信室」「医務室」「作戦室」などに分かれていて、それぞれに当時の用途を示すプレートや再現された調度品が配置されています。
中でも印象的だったのは、地下25メートル地点にある「幕僚室」です。

幕僚室では、複数の幕僚が手榴弾で自決した際の弾痕が今も壁に生々しく残されています。それらは手を加えず保存されており、実際に目にすると言葉では語りきれない重みが伝わってきます。

また、壕内の出口付近には、実際に海軍兵が出撃していった場所が残されています。
壕の守備隊は3人に1人しかライフルを持っておらず、残りは竹槍や手製の槍を手にしてこの出口から出撃したといいます。そして、その多くは帰ってくることはありませんでした。
この出口の狭さや低さは、彼らがどのような思いでこの場所をくぐり抜けていったのかを想像させ、言葉では表現しきれない重みを感じさせます。

併設された資料館では、沖縄戦時中の写真や兵士の遺品、遺書なども展示されており、戦争遺跡の見学とあわせて展示資料を見ることで、当時の背景や状況をより詳しく知ることができます。
沖縄の戦争遺跡・旧海軍司令部壕へのアクセス方法
旧海軍司令部壕は、沖縄の玄関口である那覇空港から車で約15分という立地にあり、アクセスしやすいのも魅力です。
レンタカーでの移動が便利ですが、公共交通機関でも訪れることができます。
基本情報
- 住所:沖縄県豊見城市字豊見城236
- 営業時間:8:30~17:00(最終入場 16:30)
- 休館日:年中無休
- 入場料:大人600円/小中高校生300円(団体割引あり)
- 駐車場:無料(乗用車・大型バス対応)
- サイト:≪公式≫ 旧海軍司令部壕 (海軍壕公園)
公共交通機関のアクセス方法
ゆいレール(モノレール)に乗車
- 那覇空港駅 → 赤嶺駅 → 小禄駅 → 奥武山公園駅 で下車
バスに乗り換え
- 各駅近くのバス停から「小禄入口[豊崎向け]」で55番・88番・98番のいずれかに乗車
- 「宇栄原団地前[豊崎向け]」で下車
バス停から徒歩
- 「宇栄原団地前」バス停より徒歩約4分
到着
- 「海軍壕ビジターセンター」が入口になります
沖縄の戦争遺跡「旧海軍司令部壕」を訪れて感じたこと
僕はこれまでにもいくつかの戦争関連施設を訪れてきましたが、この旧海軍司令部壕は特に印象深い場所となりました。
中に入った瞬間、観光地とはまったく違う空気感に包まれ、「ここでは何があったのか」を全身でその空気を感じ取ることになりました。
印象的だったのは、大田実中将が本土の上層部に送った電文が展示されていたことです。「これ以上、沖縄県民を戦争に巻き込まないでほしい」という強い願いが込められており、その言葉の重みに胸が締めつけられました。
沖縄は美しい海と自然にあふれたリゾート地として知られていますが、その裏側にある沖縄戦争遺跡の存在を無視することはできません。
この壕は、まさにその歴史を静かに、そして確かに伝えてくれる場所でした。
戦争を知らない世代が増えていく中で、こうした沖縄の戦争遺跡を訪れることは、平和のバトンを次の世代へつなぐ大切な行動だと感じました。
観光とは違った重みのある体験ですが、沖縄の本当の姿に触れる旅として、ぜひおすすめしたい場所です。
「2024年1月23日訪問」